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論文解説 ハルシネーションの検出と推定方法に関する研究

タイトル: ハルシネーションの検出と推定方法に関する研究

対象の論文

https://arxiv.org/pdf/2406.15927


アブストラクトの要約

  • 研究目的: AIモデルが生成する「ハルシネーション」を検出する新しい方法を提案
  • 背景: 従来の手法では、ハルシネーションの検出が困難であり、時間とコストがかかる
  • 提案手法: セマンティックエントロピーを利用し、モデルの内部状態からハルシネーションを推定する

  • 結果:

    • 提案手法は高精度(AUC 0.8〜0.95)でハルシネーションを検出
    • モデルの内部状態は、自身の知識の有無を反映していることを確認
  • 応用: ハルシネーション検出の効率化と実用化の可能性を示唆


概要

  • 研究テーマ: AIモデルが生成する「もっともらしいウソ」(ハルシネーション)の検出方法の研究
  • 研究機関: オックスフォード大学を中心に実施
  • 著名な研究者: ヤリン・ガル教授(不確実性の研究で著名)

ハルシネーションの検出方法

  • セマンティックエントロピーの利用:

    • 目的: モデルが知識を持っているか、ハルシネーションが発生しているかを判断する
    • 方法: モデルに同じ質問を複数回回答させ、その回答の一貫性を評価
    • : 「PFNの本社はどこですか?」に対し、10回答中10回答が「大手町」であれば知識があると判断
  • セマンティッククラスタリング:

    • 目的: 意味的に同じ回答をまとめることで、回答の一貫性を評価
    • 方法: LLMを使用し、回答AとBが互いに含意するかを確認し、一致する場合は同じ回答とみなす
    • 課題: 従来の方法では文字の一致を確認するだけで、表現の違いをうまく扱えない

セマンティッククラスタリングの問題点と改善

  • 問題点:

    • 大量の回答生成が必要: LLMの推論は遅く、多くのトークンを生成するためコストが高い
    • 時間とリソースの消費: 大量の計算が必要で実用的でない
  • 改善策:

    • SEPs(Semantic Entropy Probes)の提案:

セマンティックエントロピーの推定

  • 推定方法:

    • ロジスティック回帰: 二値分類の形で学習し、セマンティックエントロピーを推定
    • 内部状態の利用:
      • 質問受け取り時: 回答する前の内部状態から推定
      • 回答後の状態: 回答後の内部状態から推定
  • 内部状態の意味:

    • 回答前: モデルが知識を持っているかどうかを判断
    • 回答後: モデルが回答した内容に対して自信があるかどうかを判断

研究の結果と応用

  • 結果:

    • 高精度な推定: セマンティックエントロピーの推定が高精度で可能(AUC 0.8〜0.95)
    • モデルの理解: モデルは自分が知識を持っているかどうかを内部で把握している
  • 実用性:

    • 不確実な回答の検出: 不確実な回答に対して色付けやRAGの適用が可能
    • ハルシネーション検出アプリケーション: 実用的なハルシネーション検出モデルの開発に寄与

結論

  • 重要な知見:

    • LLMの内部理解: モデルは自分の知識の有無を内部で認識している
    • 線形回帰モデルの活用: 内部状態を用いてセマンティックエントロピーを効果的に推定可能
  • 今後の展望:

    • SEPsのさらなる発展: セマンティックエントロピーを用いた検出モデルの高度化
    • 実用化の可能性: ハルシネーション検出のための新しいアプローチの開発

ハルシネーションの検出と推定方法に関する研究

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