1. im2colの基本
「im2col」は、畳み込み演算を効率的に行うための手法です。具体的には、4次元配列(ミニバッチサイズ、チャンネル数、縦幅、横幅)を行列に変換し、畳み込み演算を行列積の計算として実行します。この変換により、畳み込み演算の処理速度が劇的に向上します。
2. im2colの動作
- 入力: 4次元の入力データ(例: ミニバッチサイズ、チャンネル数、縦幅、横幅)
- 出力: 2次元の行列
im2colは、入力データから局所的な領域を抜き出し、それを1列のデータとして展開します。この操作を入力データ全体に対して行うことで、2次元の行列が得られます。
3. im2colのコードの解説
以下は、im2colの一般的な実装です。
def im2col(input_data, filter_h, filter_w, stride_h=1, stride_w=1, pad_h=0, pad_w=0): N, C, H, W = input_data.shape out_h = (H + 2*pad_h - filter_h)//stride_h + 1 out_w = (W + 2*pad_w - filter_w)//stride_w + 1 img = np.pad(input_data, [(0,0), (0,0), (pad_h, pad_h), (pad_w, pad_w)], 'constant') col = np.zeros((N, C, filter_h, filter_w, out_h, out_w)) for y in range(filter_h): y_max = y + stride_h*out_h for x in range(filter_w): x_max = x + stride_w*out_w col[:, :, y, x, :, :] = img[:, :, y:y_max:stride_h, x:x_max:stride_w] col = col.transpose(0, 4, 5, 1, 2, 3).reshape(N*out_h*out_w, -1) return col, out_h, out_w
- 入力データの形状取得:
N, C, H, W = input_data.shape
で入力データの形状を取得します。 - 出力サイズの計算:
out_h
とout_w
は、畳み込み後の出力サイズを計算します。 - パディング:
np.pad
を使用して、入力データにパディングを追加します。 - 局所的な領域の抜き出し: 2重のforループを使用して、入力データから局所的な領域を抜き出し、
col
に保存します。 - データの整形: 最後に、
col
の形状を変更して、2次元の行列に変換します。
このコードの工夫点は、スライシング操作を効率的に行う部分です。通常、スライシングは多数回行う必要がありますが、この実装では、その回数を大幅に削減しています。
im2colに関する技術的な解説とそのコードの説明でした。この手法とその実装を理解することで、畳み込み演算の効率的な計算方法を掴むことができます。
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