ITエンジニア ノイのブログ

ITエンジニアのノイです。 YouTubeで ITエンジニアのお勉強という学習用の動画を公開しています。チャンネル登録お願いします!https://m.youtube.com/channel/UCBKfJIMVWXd3ReG_FDh31Aw/playlists

E資格のためのフローベース生成モデル

フローベース生成モデルは、データの分布を学習し、新しいデータを生成するための機械学習モデルです。 画像生成モデルには次のようなものがありますが、その中の一つフローベース生成モデルについて解説します。

  • GANやVAE
  • フローベース生成モデル
  • 拡散モデル

フローベース生成モデルについてはこちらのページを参考にさせていただきました。 lilianweng.github.io

フローベース生成モデル

GANやVAEと比較

フローベース生成モデル、GAN(Generative Adversarial Networks)、そしてVAE(Variational Autoencoders)は、それぞれ異なる特徴と利点・欠点を持ちます。

フローベース生成モデル

メリット:

  • 正確な尤度計算: モデルはデータの正確な尤度を計算できるため、より良い評価が可能です。
  • 効率的なサンプリング: モデルは直接サンプリングが可能であり、生成されたサンプルの質が高い。

デメリット:

  • 計算コスト: ヤコビアンの計算が必要であり、これが計算資源を大量に消費する。

  • 複雑さ: 実装が複雑であり、設計が難しいことがあります。

GAN

メリット: - 高品質な生成: 生成される画像は非常にリアルで高品質。

  • 強力な表現力: 複雑なデータ分布を捉える能力が高い。

デメリット: - 訓練の安定性: GANの訓練は不安定であり、モード崩壊が起きることがある。

  • 評価の困難: 生成したデータの品質の評価が難しい。

VAE

メリット:

  • 安定した訓練: 訓練が比較的安定しており、理論的な背景がしっかりしている。

  • 連続的な潜在空間: 潜在空間が連続的であり、新しいデータの生成がスムーズ。

デメリット:

  • ぼやけた生成: 生成されるデータがぼやけがちで、細部の再現性が低い。

  • 限定的な表現力: 複雑なデータ分布を捉えるのに限界がある。

各生成モデルの特徴

モデル名 特徴
フローベースモデル 直接尤度を計算でき、正確なデータ生成が可能。
VAE(Variational Autoencoders) 潜在空間を介したデータ生成で、訓練が安定。
GAN(Generative Adversarial Networks) 高品質でリアルな画像生成が可能だが、訓練が不安定。

フローベース生成モデル

フローベース生成モデルは、単純な分布を複雑な分布に変換する一連の可逆変換を用いて、データの確率分布を直接学習します。このモデルはヤコビアン行列の決定式が簡単に計算できることが必要であり、それによりデータの正確な尤度が計算可能になります。この技術は、より効率的なデータ生成、密度推定、欠損データの補完などに利用されます。各変換ステップでは、前の変数の分布から新しい変数の分布が導出され、逆関数ヤコビアンの決定式を利用して計算されます。

画像が生成される仕組み

フローベース生成モデルは、複雑な画像データを生成するために、単純なノイズデータを一連の可逆変換を通じて複雑なデータへと変換します。このプロセスでは、元の単純な分布から派生したデータポイントが、段階的に目標とする画像の分布に近づけられます。各変換ステップは可逆的であり、データポイントの密度関数も変換に伴って調整されます。このようにして、モデルは新しい画像を生成するために学習したデータの複雑な構造を模倣できます。

生成プロセス

  1. 初期化:単純な確率分布(通常は多次元の正規分布)からランダムノイズデータを生成します。

  2. 変換の適用:この初期データに対して、一連の可逆で複雑な変換(フロー)を順番に適用します。これらの変換は学習可能で、データを徐々に目標のデータ分布(例えば、特定の種類の画像)に変形させます。

  3. 画像生成:最終的な変換が適用された後、出力されるデータは目標とする画像の分布に従うものとなります。この結果として、新しい画像が生成されます。

計算方法

フローベース生成モデルにおける計算方法

変換定理(Change of Variable Theorem)

フローベースモデルにおける変数の変換定理(Change of Variable Theorem)は、確率密度関数の変換を扱います。具体的には、変数 z が確率密度 p z (z) に従うとき、可逆関数 f を用いて変換された変数 x=f(z) の確率密度 p x(x) は以下の式で表されます:

変換定理(Change of Variable Theorem)

ヤコビ行列と行列式

ヤコビ行列
ヤコビ行列の行列式

確率変数の変換

ヤコビ行列の行列式を用いた確率変数の変換では、元の確率密度関数がどのように新しい変数空間での密度に変換されるかを定義します。

確率変数の変換

損失関数

負の対数尤度を損失関数として使用し、ヤコビ行列の行列式を含めた場合の数式は次のようになります:

損失関数
この式は、モデルがデータの真の分布にどれだけ適合しているかを評価し、パラメータ θ を最適化するために使用されます。 Normalizing Flowsにおける負の対数尤度の式
Normalizing Flowsにおける負の対数尤度の式

YouTubeでも解説しています

⬇️フローベース生成モデル


www.youtube.com

深層学習教科書 ディープラーニング G検定(ジェネラリスト)公式テキスト 第2版 (EXAMPRESS) [ 一般社団法人日本ディープラーニング協会 ]

価格:3,080円
(2023/8/16 20:42時点)
感想(5件)