メモリベースとモデルベースの手法は、推薦システムの中で広く使われる2つのアプローチです。以下にその主な違いをまとめました。
メモリベース:
- データ使用: 既存のユーザー-アイテムの評価データを直接使用してレコメンドします。
- 計算方法: ユーザー間やアイテム間の類似度を計算することでレコメンドします。
- アップデート: 新しいユーザーやアイテムが追加されるたびに、類似度の計算を更新する必要があります。
- 計算コスト: ユーザーやアイテムが増加すると、計算コストが増加します。特にユーザーベース協調フィルタリングは新しいユーザーが加わるたびに再計算が必要です。
モデルベース:
- データ使用: ユーザー-アイテムの評価データから何らかの情報を抽出してモデルを構築し、そのモデルを用いてレコメンドします。
- 計算方法: 機械学習や次元削減手法(SVD、PCAなど)を使用してデータから特徴を学習し、その学習されたモデルを用いてレコメンドします。
- アップデート: 新しいデータが入ってきたとき、モデルの再トレーニングが必要になる場合があります。
- 計算コスト: 一度モデルが構築されれば、新しいユーザーやアイテムが追加されても、オンラインでのレコメンドの計算コストは比較的低い。
その他の違い:
- パフォーマンス: メモリベースはスパースなデータの影響を受けやすいですが、モデルベースはデータのスパース性を低減する手法を使うことで高いパフォーマンスを実現することができます。
- 柔軟性: メモリベースはシンプルなため、理解しやすく、実装も簡単です。しかし、モデルベースはより高度な手法を取り入れることが可能で、より柔軟なレコメンドが可能です。
- 解釈性: メモリベースの方が結果の理由をユーザーに説明しやすい。一方、モデルベースの一部の手法は、何が起こっているのかを解釈するのが難しい場合があります。
これらの違いから、システムの目的や要件に応じて最適な手法を選択することが大切です。
深層学習教科書 ディープラーニング G検定(ジェネラリスト)公式テキスト 第2版 (EXAMPRESS) [ 一般社団法人日本ディープラーニング協会 ] 価格:3,080円 |